【落語】12月28日 新宿末廣亭夜の部(主任:むかし家今松)

<演目>
林家正楽
初音家左橋「稽古屋」
柳家さん喬時そば
〜仲入り〜
柳家〆治「看板のピン」
松旭斎美智美登
桂才賀(いつもの)
柳家小里ん「強飯の女郎買い」
鏡味仙三郎社中
むかし家今松「芝浜」
18:30-21:08


毎年、新宿末廣亭の年末の楽日は今松師匠の「芝浜」が恒例。私は3回目の参加です。末廣亭では、平日に2階が開くのは、特別興行を除くと、小三治師匠がトリをとるときと、今松師匠が「芝浜」をやる楽日だけではないか、と思います。

今年、入場したらほぼ満席。しかし、2階が開いていませんでしたので、2階が開くまで立ち見で待つことにしました。今松師匠の「芝浜」は、2階でゆったりとして聴きたいのですよ。5分後ぐらいに2階を開けてもらいました。今年の2階を開けたのは私です(笑)。

正楽師匠の紙きりは本当に素晴らしい。人柄が出ます。今回は子供の声「竜がいい!」にすばやく反応。「私も竜がいいと思っていました」と早速竜を切ります。このあたり、本当に優しいですよね。

左橋師匠の「稽古屋」がこれまたよかった。鳴り物入りで、普段見せる粘着質な口調を封印し、本当に「稽古屋」を見せてもらいました。左橋師匠は寄席でぜひ聴きたい噺家さんです。

さん喬師匠は、グルメ→そば、という定番のマクラから「そば清」ではなくて「時そば」をやっていただきました。さん喬師匠の「時そば」は初めてだったかもしれません。

「強飯の女郎買い」は「子別れ」の上ですが、ここだけ切り取ってやられてもさっぱり演目がわかりません。小里ん師匠はあっけにとられる客席を尻目に最後に「強飯の女郎買いっ」と言ってさっさと高座をおりました。小里ん師匠はたまにこういう茶目っ気のあることをやってくれるので本当に楽しいですね。

トリの今松師匠は盛大な拍手で迎えられて、「芝浜」の原典と思われる狂歌を披露し、魚屋のマクラから、淡々と「芝浜」へ。今松師匠の「芝浜」を初めて聴いたときには、衝撃を受けたものです。それ以来、その衝撃を超える「芝浜」を聴いたことはありません。そして、今年も素晴らしい「芝浜」でした。仕事を終えた大晦日の静寂、夫婦の互いを思い遣っている心の優しさ、それが本当に伝わってくる素晴らしい高座でした。

本来であれば、この噺で年を締めくくるのですが、今年は29日の末廣亭の余一会で、扇遊「たちきり」と、さん喬「芝浜」を聴くことにしました。また違った締めくくりができると思います。